家の売却にかかる税金完全ガイド:計算方法から節税対策、注意点まで
監修者
山内康司
TikTokにて、不動産売却・購入について配信中。
不動歴10年以上。元警察官。

Contents
【家の売却 税金 完全ガイド】計算方法は?使える控除は?確定申告まで徹底解説!
「家を売却したら、税金ってどれくらいかかるの?」「なんか難しい控除とか特例があるって聞いたけど…」「確定申告って、絶対やらないとダメ?」
家を売却する際、避けては通れないのが「税金」の問題。でも、税金の話ってなんだか難しそうで、つい後回しにしてしまいがちですよね。
この記事では、不動産売却時にかかる税金の種類から、具体的な計算方法、そして知っていると数百万円単位で手残りが変わる可能性のある「節税対策(控除・特例)」、さらには売却後の確定申告まで、あなたが損をしないために知っておくべき情報を、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します! 不安を解消して、賢く売却を進めましょう。
家の売却でかかる税金は、主にこの2つ!

家を売却する際に関係してくる税金はいくつかありますが、特に押さえておくべきなのは以下の2種類です。
① 契約時にかかる「印紙税」
まず、売買契約書を作成する際に必ず必要になるのが「印紙税」です。これは、契約書という「文書」に対してかかる税金で、契約書に記載された売買金額に応じて税額が決まります。
納税方法は、契約書に税額分の「収入印紙」を貼り付け、消印(割印)を押すだけ。収入印紙は郵便局やコンビニ(高額なものは郵便局が確実)で購入できます。
もし印紙を貼り忘れると、後で本来の税額の3倍ものペナルティ(過怠税)が課されることもあるので、絶対に忘れないようにしましょう!(通常は不動産会社が案内してくれます)
| 契約金額 | 印紙税額(本則) | 印紙税額(軽減措置適用後 ※) |
|---|---|---|
| 100万円超 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
※不動産売買契約書については、現在(令和9年3月31日まで)軽減措置が適用されています。上記は軽減後の税額です。
② 利益が出たら「譲渡所得税(所得税・住民税)」
そして、家を売却して「利益(儲け)」が出た場合にかかるのが、「譲渡所得税」です。これは、「所得税」と「住民税」を合わせた呼び方です。(正確には、所得税には「復興特別所得税」も含まれます)
「利益が出た場合」というのがポイントで、もし買った時より安く売れた(=損失が出た)場合は、基本的にこの税金はかかりません。(ただし、損失が出ても確定申告が必要なケースはあります。後述)
この譲渡所得税の税率は、家を「どれくらいの期間、所有していたか」によって大きく変わるのが特徴です。
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合 → 短期譲渡所得(税率が高い!)
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合 → 長期譲渡所得(税率が低い)
つまり、基本的には長く持っていた家ほど、税金は安くなる仕組みになっています。「あと少しで5年超えるのに…」という場合は、売却時期を少し待つことも検討する価値があるかもしれません。
「譲渡所得(利益)」ってどう計算するの?
では、税金がかかるかどうかの分かれ目となる「利益(譲渡所得)」は、具体的にどうやって計算するのでしょうか? 基本的な計算式はシンプルです。
それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
| 項目 | 内容・含まれるもの(主な例) |
|---|---|
| 売却価格 | 実際に家(土地・建物)が売れた金額。 |
| 取得費 | その家を買った(建てた)時にかかった費用のこと。 ・購入代金(土地・建物) ・購入時の仲介手数料、登記費用、不動産取得税、印紙税など ・増改築や設備費、改良費など(※修繕費は含まれない場合が多い) ※建物の購入代金は、所有期間中の「減価償却費」を差し引いて計算する必要があります。(計算方法は複雑なので税理士相談推奨) ★取得費が不明な場合★ 購入時の契約書などを紛失して取得費が分からない場合は、「売却価格の5%」を取得費とみなして計算するルール(概算取得費)がありますが、実際の取得費よりかなり低くなることが多く、税金が高くなる可能性大! できる限り書類を探しましょう。 |
| 譲渡費用 | その家を売るために直接かかった費用のこと。 ・仲介手数料 ・印紙税(売買契約書に貼ったもの) ・登記費用(抵当権抹消など) ・測量費(売却のために測量した場合) ・建物解体費(更地にして売る場合) ・立退料(賃借人に支払った場合) ※引越し費用やハウスクリーニング代、固定資産税の精算金などは、基本的に譲渡費用には含まれません。 |
この計算式で「譲渡所得」がプラスになれば、その金額に税率を掛けて税額が決まります。マイナスになれば、原則として譲渡所得税はかかりません。
所有期間でこんなに違う!譲渡所得税の税率
先ほど触れたように、税率は所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わります。
| 所有期間(※) | 区分 | 所得税 (復興特別所得税含む) |
住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 15.315% | 5% | 20.315% |
※所有期間は、売却した年の1月1日時点で判定します。例えば、2020年4月1日に購入した家を2025年10月1日に売却した場合、実際の所有期間は5年超ですが、2025年1月1日時点ではまだ5年経っていないため、「短期譲渡所得」として扱われます。この点、非常に間違いやすいので注意が必要です!
見ての通り、税率はほぼダブルスコア! 売却時期を少し調整するだけで、税額が大きく変わる可能性があることがわかりますね。
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絶対使いたい!不動産売却で使える「節税対策(控除・特例)」

「税金、やっぱり高いな…」と感じた方も多いかもしれません。でも、ご安心ください! 特にマイホーム(居住用財産)の売却には、税負担を劇的に軽くできる、強力な「控除」や「特例」が用意されています。これらを使わない手はありません!
①【最強!】マイホーム売却なら「3,000万円特別控除」
これは、自分が住んでいた家(+その敷地)を売却した場合に使える、最も代表的で効果の大きい特例です。
なんと、計算した譲渡所得から最大で3,000万円まで差し引くことができます! つまり、譲渡所得が3,000万円以下であれば、譲渡所得税はゼロになるのです。
【主な適用要件】
- 自分が住んでいる家、または住まなくなってから3年後の年末までに売却すること。
- 親子や夫婦など、特別な関係にある人への売却ではないこと。
- 売却した年とその前年・前々年に、他のマイホームに関する特例(買換え特例や住宅ローン控除など)を使っていないこと。
- (家を取り壊した場合)取り壊してから1年以内に売買契約を結び、かつ住まなくなってから3年後の年末までに売却すること、など。
特に注目したいのが、夫婦共有名義の場合。それぞれが要件を満たせば、なんと夫婦合わせて最大6,000万円まで控除できる可能性があります!
この特例を使うためには、必ず確定申告が必要です。
②【さらに軽減!】所有期間10年超なら「軽減税率の特例」
売却したマイホームの所有期間が10年を超えている場合(売却した年の1月1日時点)、さらに税率が低くなる特例があります。
具体的には、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、税率が通常の長期譲渡所得(約20%)よりも低い約14%(所得税10.21%、住民税4%)に軽減されます。(6,000万円を超える部分は通常の長期譲渡税率)
嬉しいことに、この軽減税率の特例は、①の「3,000万円特別控除」と併用が可能です! つまり、3,000万円を引いた後の譲渡所得に対して、さらに低い税率が適用されるのです。
【主な適用要件】
- 自分が住んでいる家、または住まなくなってから3年後の年末までに売却すること。
- 売却した年の1月1日時点で、家と土地の所有期間がともに10年を超えていること。
- 親子や夫婦など、特別な関係にある人への売却ではないこと。
- 売却した年とその前年・前々年に、他のマイホームに関する特例(買換え特例など)を使っていないこと(※3,000万円控除は併用可)。
こちらも確定申告が必要です。
③【損失が出た場合】「損益通算」と「繰越控除」
買った時より安く売れてしまい、損失(譲渡損失)が出た場合にも、税金が戻ってくる(あるいは将来の税金が安くなる)可能性があります。
- 損益通算:マイホームの売却で出た損失を、その年の給与所得や事業所得など、他の所得と相殺して、所得税・住民税を減らすことができる制度。
- 繰越控除:損益通算してもまだ損失が残る場合、その損失を翌年以降最長3年間にわたって繰り越し、各年の所得から控除できる制度。
【主な適用要件】
- 自分が住んでいた家であること。
- 売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えていること。
- (買換えの場合)売却した年の前年から翌年末までの間に、新しいマイホームを取得し、一定のローンを利用していること、など。(※買換えをしない場合にも使える特例があります)
損失が出たからといって何もしなければ、この恩恵は受けられません。損失が出た場合も、確定申告が必須です。
これらの控除・特例をまとめたものが以下の表です。
| 控除・特例の名前 | どんな制度? | 主な適用要件 | 併用など注意点 |
|---|---|---|---|
| 3,000万円特別控除 | 譲渡所得から最大3,000万円控除 | ・居住用財産(マイホーム) ・親子間売買等でない |
・軽減税率と併用可 ・買換え特例や住宅ローン控除(売却年とその前後2年)とは併用不可 |
| 軽減税率の特例 | 譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が約14%に軽減 | ・所有期間10年超の居住用財産 | ・3,000万円控除と併用可 |
| 損益通算・繰越控除 | 譲渡損失を他の所得と相殺、または翌年以降に繰り越し | ・所有期間5年超の居住用財産 ・(買換えの場合)ローン要件などあり |
ー |
※上記は概要です。適用には細かい要件がありますので、必ず税理士や税務署にご確認ください。
税金手続きの注意点:知らないと損することも!

節税対策と合わせて、手続き上の注意点も押さえておきましょう。
要注意!「住宅ローン控除」との併用はできない
家を売却して利益が出た場合に使える「3,000万円特別控除」や「軽減税率の特例」。これらは非常に大きな節税効果がありますが、一つ大きな注意点があります。
それは、これらの特例を使った年、およびその前後2年間(合計5年間)は、新たに購入した家の「住宅ローン控除」が使えなくなる、ということです。
もし売却と同時に新しい家への住み替えを考えていて、新しい家で住宅ローン控除を使いたい場合は、「売却時の特例を使う」のと「新しい家で住宅ローン控除を使う」のと、どちらがトータルで得になるか、慎重にシミュレーションする必要があります。これは非常に重要な判断なので、税理士に相談することをおすすめします。
利益が出なくても?「確定申告」は原則必要!
「うちは売却で利益が出なかった(むしろ損した)から、税金関係ないよね?」と思っている方、ちょっと待ってください!
実は、不動産を売却した場合、利益が出なかった(譲渡所得がゼロかマイナスだった)としても、原則として確定申告は必要だと考えた方が安全です。
なぜなら、
- 税務署は不動産の登記情報などから売買があったことを把握しており、「申告がない=所得隠し?」と疑われる可能性がある。
- 損失が出た場合に使える「損益通算・繰越控除」の特例は、申告しないと使えない。
- 「3,000万円特別控除」などを使って税金がゼロになる場合でも、その特例を使うためには申告が必須。
という理由があるからです。「税金がかからないから申告しなくていいや」と自己判断せず、念のため税務署や税理士に確認するか、申告しておくのが無難でしょう。
確定申告の期間は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。忘れないようにしましょう。
税金の支払いタイミングは?
売却にかかる税金の支払いタイミングも確認しておきましょう。
- 印紙税:売買契約を結ぶ契約時に、契約書に収入印紙を貼って納付。
- 譲渡所得税(所得税・復興特別所得税):確定申告期間(翌年2/16〜3/15)内に、申告と同時に納付。
- 譲渡所得税(住民税):確定申告の情報に基づき、翌年の6月頃に市区町村から納付書が送られてくるので、それに従って納付(通常4期に分けて支払う)。
特に譲渡所得税は、売却益によってはかなり高額になることも。売却代金が入ったら、納税用のお金としてしっかり確保しておくことが大切です。計画的な資金準備を心がけましょう。
不動産売却を成功させるために:専門家との連携がカギ

ここまで見てきたように、家の売却には税金をはじめ、専門的な知識が必要な場面がたくさんあります。すべてを自分だけでやろうとせず、プロの力をうまく借りることが、成功への近道です。
信頼できる「不動産会社」を選ぶ
売却活動全体のパートナーとなる不動産会社選びは、税金面でも重要です。信頼できる会社なら、
- 売却にかかる税金の概算や、使える可能性のある特例について、基本的な情報を提供してくれる。
- 必要に応じて、提携している税理士を紹介してくれる。
- 確定申告に必要な書類(売買契約書など)をしっかり準備・説明してくれる。
といったサポートが期待できます。査定額だけでなく、こうした税金面での知識やサポート体制も、会社選びの判断材料にしましょう。
私たちリブネクストが、お客様の不動産売却においてどのようなサポートをさせていただいているか、「リブネクストが不動産売却で選ばれている理由」のページもぜひご覧ください。
税金のことは「税理士」に相談するのが一番確実
譲渡所得の計算、特に「取得費」の算出(減価償却など)や、各種特例の適用要件の判断は、非常に複雑です。計算ミスや勘違いで、本来払わなくていい税金を払ってしまったり、逆に後から追徴課税されたりするのは避けたいですよね。
税金に関して少しでも不安や疑問があれば、迷わず「税理士」に相談しましょう。彼らは税務のプロフェッショナル。あなたの状況に合わせて、
- 最も有利な節税方法(特例の選択など)をアドバイスしてくれる。
- 正確な税額を計算してくれる。
- 面倒な確定申告の手続きを代行してくれる。
といった、心強いサポートを提供してくれます。相談費用はかかりますが、それ以上の節税効果が得られることも少なくありません。「餅は餅屋」です。
リブネクスト株式会社では、不動産売却に詳しい経験豊富な担当税理士とも連携しております。税金に関するご相談もワンストップで対応可能ですので、安心してご相談ください。まずはお問い合わせフォーム・電話・LINEからお気軽にご連絡ください。
売却後の「資金計画」も忘れずに
家を売却して得た資金は、税金や諸費用を差し引いた「手残り額」で考えることが大切です。その上で、そのお金を「何に使うか」を事前に計画しておきましょう。
住宅ローンの残債返済、新しい家の購入資金、老後の生活費、投資、教育資金…。使い道は様々ですが、目的を明確にしておくことで、無駄遣いを防ぎ、将来の安心につながります。必要であれば、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談して、長期的な視点での資金計画を立てるのも良いでしょう。
まとめ:賢く税金対策をして、家の売却を成功させよう!
家の売却と税金は、切っても切れない関係です。税金の仕組みや節税対策を知っているかどうかで、手元に残るお金が大きく変わってきます。
この記事でお伝えしたポイント、
- かかる税金は主に「印紙税」と「譲渡所得税」。
- 譲渡所得(利益)は「売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」で計算。
- 所有期間5年超で税率がグッと下がる。
- マイホーム売却なら「3,000万円控除」などの強力な特例を要チェック!
- 特例を使うなら「確定申告」が必須!(損失が出た場合も!)
- 税金のことは「税理士」に相談するのが一番安心。
これらをしっかり押さえて、賢く税金対策を行い、あなたの不動産売却を成功させてくださいね。







