相続対策:現金と不動産、どちらで残す(もらう)のが得?メリット・デメリットを徹底比較
監修者
山内康司
TikTokにて、不動産売却・購入について配信中。
不動歴10年以上。元警察官。
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Contents
相続対策:現金と不動産、どちらで残す(もらう)のが得?メリット・デメリットを徹底比較
大前提として、相続財産が(現金、不動産、有価証券を合わせると)大きい!今で言うと、5000万円を超えるような場合は、まずは税理士に相談してください。
弊社に相談にいらっしゃっても多くの場合は、弊社で紹介した信頼できる税理士に相談してもらうことになります。
「親が元気なうちに、相続のことを考えておきたい」
「実家(不動産)で相続するのと、現金で相続するの、どっちが『得』なんだろう?」
「相続税が安くなるのは不動産って聞くけど、兄弟でどう分ければいいか…」
相続対策を考え始めると、この「現金 vs 不動産」問題は避けて通れません。
結論から言うと、どちらか一方が絶対的に「得」ということはありません。
相続対策の成功は、「節税効果(税金)」と「分けやすさ(家族関係)」のバランスで決まるからです。
この記事では、相続の基本的な考え方から、それぞれのメリット・デメリット、そして「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためのポイントまで、分かりやすく解説します。
なぜ悩む?現金と不動産で「評価額」と「分けやすさ」が全く違うから

まず、なぜ現金と不動産が比較されるのか、その根本的な違いを知っておきましょう。
相続税評価額の違い:現金は「額面通り」、不動産は「時価より低く」なる
相続税を計算するとき、財産の価値(評価額)を出す必要があります。
- 現金(預貯金)
1億円なら、評価額はそのまま1億円です。非常にシンプルです。 - 不動産(土地・建物)
時価(実際に売れる価格)が1億円でも、相続税の評価額はもっと低くなります。
土地は「路線価(時価の約8割目安)」、建物は「固定資産税評価額(建築費の5〜7割目安)」で計算されるため、一般的に時価の7〜8割程度、賃貸アパートなど人に貸している物件はさらに低く評価されます。
つまり、同じ1億円の価値でも、不動産で持っている方が相続税の計算上は「安く」なるのです。
遺産分割の難易度:現金は「分けやすい」、不動産は「分けにくい」
次に、相続人(子供たちなど)で財産を分ける「遺産分割」のしやすさです。
- 現金
相続人が3人なら、1億円を3,333万円…と1円単位で公平に分けられます。非常に分けやすく、揉め事になりにくいのが特徴です。 - 不動産
「実家」という1つの不動産を3人で分けるのは困難です。「長男が家を継ぐから、次男と三男には現金を」と思っても、他に現金がなければ不公平になります。
最悪の場合、不動産をめぐって家族関係が悪化する(=争続)ことにもなりかねません。
メリット・デメリット早わかり比較表

ここで、それぞれの特徴を表で整理してみましょう。
| 比較項目 | 現金(預貯金) | 不動産(自宅・土地など) |
|---|---|---|
| 相続税の評価 |
額面通り(節税効果なし) | 時価より低くなる(節税効果大) |
| 特例の活用 | ほぼ無い | 小規模宅地等の特例(評価額が最大80%減)が強力 |
| 分けやすさ | 非常に分けやすい | 分けにくい(揉める原因になりやすい) |
| 相続後の管理 | 手間ゼロ | 管理・維持費(固定資産税、修繕費)がかかる |
| 納税のしやすさ | そのまま納税できる | すぐに現金化できず、納税に困る場合も |
ケース別メリット・デメリットを深掘り
表の内容を、もう少し具体的に解説します。
現金で相続するメリット
- 【メリット1】管理の手間がゼロ
不動産のように、固定資産税の支払いや、修繕・メンテナンス、空室の心配などは一切ありません。相続した後の負担が圧倒的に軽いです。 - 【メリット2】納税資金にすぐ充当できる
相続税は「現金一括払い」が原則です。相続財産が不動産ばかりだと、税金を払うために「慌てて実家を安く売る」ことになりかねません。現金があれば、納税もスムーズです。 - 【メリット3】公平に分けやすい
前述の通り、1円単位で分けられるため、遺産分割協議がスムーズに進みやすい最大のメリットがあります。
現金で相続するデメリット
- 【デメリット】相続税が高くなりがち
評価額が額面通りで、税金を安くする「特例」もほぼ使えないため、不動産に比べて相続税は高くなる傾向があります。
不動産で相続するメリット
ポイント
- 【メリット】相続税を大幅に節税できる
これが最大のメリットです。相続税評価額が時価より低いことに加え、「小規模宅地等の特例」が非常に強力です。 - 【超重要】小規模宅地等の特例とは?
亡くなった方(被相続人)が住んでいた土地(自宅)などを、配偶者や同居していた家族が相続した場合、その土地の評価額を最大80%も減額できる制度です。
(例:5,000万円の土地の評価額が、1,000万円になるイメージ)
不動産で相続するデメリット
ポイント
- 【デメリット1】分割が難しく、揉めやすい
「誰が実家を継ぐのか」「他の相続人との不公平をどう埋めるか」で、家族の意見が対立しやすいのが最大の難点です。 - 【デメリット2】管理の手間とコストがかかる
住む人がいない場合、固定資産税や火災保険料、定期的な清掃・管理費がずっとかかり続けます。 - 【デメリット3】流動性が低い(すぐに現金化できない)
相続税の納税期限(亡くなってから10ヶ月以内)までに売却が間に合わないリスクがあります。
【シミュレーション】5,000万円の財産なら、相続税はいくら違う?

「節税効果」がどれくらい違うのか、非常にシンプルな例で見てみましょう。
(※前提:法定相続人が1人(例:子1人)の場合。基礎控除額 3,000万円 + 600万円 × 1人 = 3,600万円)
ケース1:現金5,000万円を相続した場合
- 課税遺産額:5,000万円 – 3,600万円(基礎控除) = 1,400万円
- 相続税額:1,400万円 × 税率10% = 約140万円
ケース2:時価5,000万円の「自宅不動産」を相続した場合
ポイント
- 1.相続税評価額に下がる
時価5,000万円の自宅(土地)の相続税評価額が、仮に3,000万円だったとします。 - 2.「小規模宅地等の特例」を適用(80%減額)
3,000万円 × (1 – 0.8) = 評価額 600万円 - 3.相続税の計算
課税遺産額:600万円 – 3,600万円(基礎控除) = 0円(基礎控除以下) - 相続税額:0円
※これはあくまで特例が最大限制使えた場合のシンプルな一例です。特例の適用には「誰が相続するか」「面積はいくつか」など細かい要件があります。
不動産のプロが考える「本当に賢い」相続対策

シミュレーションだけ見ると「不動産が圧勝」に見えますが、私たちはそうは思いません。
「節税」だけで選ぶと危険!相続後の「管理」と「家族関係」が重要
相続税が0円になっても、その実家が「負」動産になっては意味がありません。
「誰も住まない実家」のために、毎年固定資産税を払い、草むしりのために遠方から通う…。そんな負担を子供に残したいでしょうか?
また、相続税が0円になっても、その不動産の分け方をめぐって兄弟仲が悪くなってしまっては、元も子もありません。
「分けにくい不動産」はどうする?売却(換価分割)も一つの答え
相続対策で最も大切なのは、家族が揉めないことです。
もし実家を継ぐ人がいないのであれば、相続が発生した後に「不動産を売却して、現金で公平に分ける(換価分割)」という方法が、最もスッキリするケースも多いです。
私たち不動産のプロは、その不動産が「活用すべきか」「売却すべきか」を市場価値から客観的に判断し、ご家族が円満に相続を終えるためのお手伝いができます。
まとめ:最適な相続は「家族ごと」に違う。まずは専門家へ相談を

現金と不動産、どちらが「得」かは、ご家族の状況や財産内容によって答えが全く異なります。
- 節税だけを考えるなら、不動産が有利。
- 分けやすさや相続後の管理を考えるなら、現金が有利。
大切なのは、ご自身の財産を「見える化」し、家族で「将来どうしたいか」を話し合っておくことです。
「うちはどうなんだろう?」と悩んだら、税金のことは税理士へ、そして不動産の活用や売却のことは、私たちのような不動産の専門家へ、ぜひお気軽にご相談ください。
一番大切なこと
まずは、相続税がかかるかどうかの判断が最も大切です。
かからない場合は、特別な対策は必要ありません。
かかる場合でも、不動産をそのままもっているのがいいのか、アパートを建てるのがいいのか、誰かに貸すのがいいのか、さまざまです。
相続される資産が大きい場合、数億円規模を超える場合は、必ず、税理士に問い合わせるようにしてください。
まだ、相続をどうするか、相続人間で争いがある場合は、弁護士に相談するようにしてください。
結局は、適切な専門家に適切に相談するというのが一番大切なことです。
信頼できる専門家がいないとか、どういう専門家に相談すればいいかわからない、などの場合は、税務に関する一般論と合わせて、弊社でその専門家を紹介したりもできます。
弊社の場合は、紹介料など一切いただくことなく、紹介させてもらいますので、お気軽にお問い合わせください。







