親の認知症で実家売却を検討する際に知っておくべきこと|最適な選択肢とは

監修者
山内康司
TikTokにて、不動産売却・購入について配信中。
不動歴10年以上。元警察官。
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親の認知症で実家売却を検討する際に知っておくべきこと|最適な選択肢とは
親御さんが認知症になり、実家の売却を検討せざるを得なくなった時、何から始めれば良いのでしょうか?この記事では、認知症の親を持つ方が実家を売却する際に直面する可能性のある課題や、利用できる制度、売却以外の選択肢まで、具体的に解説します。三井住友信託銀行などの専門機関の活用についても触れ、読者の皆様が安心して最適な決断を下せるようサポートします。
認知症の親の実家売却:基本と課題
認知症の進行度と売却の可否
認知症の進行度合いは、実家売却の可否を大きく左右する要素の一つです。認知症の初期段階では、ご本人の判断能力が比較的保たれている場合が多く、通常の不動産売却の手続きを進めることができる可能性があります。
しかし、認知症が進行し、判断能力が著しく低下すると、法律行為を行うことが難しくなり、売却には成年後見制度の利用が不可欠となることがあります。成年後見制度を利用する際には、家庭裁判所への申し立てや、後見人の選任など、煩雑な手続きが必要となるため、時間的な余裕を持って準備を進めることが重要です。
また、認知症の程度によっては、売却以外の選択肢、例えば、賃貸に出す、リバースモーゲージを利用するなどの方法も検討する必要があります。いずれにしても、まずは専門家、例えば、不動産会社や弁護士、司法書士などに相談し、最適な方法を検討することが大切です。
親御さんの状況を正確に把握し、将来を見据えた計画を立てることが、円滑な実家売却を実現するための第一歩となります。認知症の進行度合いを考慮し、ご本人にとって最善の選択肢を選ぶように心がけましょう。
不動産の名義確認の重要性
実家売却を検討する上で、不動産の名義確認は非常に重要なステップです。売却手続きを進める前に、必ず登記簿謄本を取得し、現在の所有者が誰であるかを確認しましょう。もし、不動産の名義が既に亡くなっている方のままであれば、相続手続きを行う必要があります。
また、名義が認知症の親御さんのままであれば、成年後見制度の利用を検討する必要があるかもしれません。名義人が誰であるかによって、売却の手続きや必要書類が大きく変わってくるため、早めに確認しておくことが大切です。
特に、相続が発生している場合は、相続人全員の同意が必要となるなど、手続きが複雑になる可能性があります。不動産会社や司法書士などの専門家に相談し、正確な情報を把握した上で、適切な対応を進めるようにしましょう。
名義確認を怠ると、売却手続きが滞ったり、後々トラブルに発展する可能性もあるため、注意が必要です。登記簿謄本は、法務局で取得することができます。オンラインでの取得も可能なので、活用してみましょう。
家族信託の活用
家族信託は、認知症対策として有効な手段の一つです。家族信託とは、財産の管理・運用・処分を、信頼できる家族に託す仕組みです。認知症になる前に家族信託を設定しておけば、親御さんの判断能力が低下した後でも、受託者である家族が、親御さんのために財産を管理・処分することができます。
実家売却を検討している場合、家族信託を設定しておくことで、親御さんの判断能力が低下した後でも、スムーズに売却手続きを進めることが可能になります。家族信託は、成年後見制度と比較して、柔軟な財産管理が可能であるというメリットがあります。
例えば、売却代金の使い道を受託者が柔軟に決定したり、複数の家族を受益者として設定したりすることができます。ただし、家族信託の設定には、専門的な知識が必要となるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
また、信託契約の内容は、慎重に検討する必要があります。信託契約の内容によっては、税金が発生する可能性もあるため、税理士にも相談しておくと安心です。家族信託は、将来を見据えた財産管理の選択肢として、検討する価値があります。
成年後見制度の利用と注意点
成年後見制度とは?
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分になった方を法的に保護し、支援するための制度です。この制度は、ご本人の権利を守り、尊厳を尊重しながら、その生活をサポートすることを目的としています。
成年後見制度には、大きく分けて「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。法定後見は、既に判断能力が不十分になっている場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
一方、任意後見は、ご本人がまだ判断能力があるうちに、将来、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ後見人となる人を決めておく制度です。成年後見人には、ご本人の財産管理や身上監護(生活のサポート)を行う権限が与えられます。
財産管理では、預貯金の管理、不動産の管理、契約行為の代行などを行います。身上監護では、介護サービスの利用契約、医療機関への入院手続きなどを行います。成年後見制度は、判断能力が不十分になった方の生活を支える上で、非常に重要な制度です。
しかし、制度の利用には、いくつかの注意点もあります。例えば、後見人には報酬が発生することや、売却に家庭裁判所の許可が必要になることなどが挙げられます。制度の内容をよく理解した上で、利用を検討することが大切です。
成年後見人の選任手続き
成年後見人を選任するためには、家庭裁判所への申し立てが必要です。申し立ては、ご本人の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。申し立てができるのは、ご本人、配偶者、四親等以内の親族などです。申し立ての際には、様々な書類を提出する必要があります。
例えば、ご本人の診断書、戸籍謄本、住民票、財産目録、親族関係図などが必要です。診断書は、ご本人の判断能力の状態を証明するもので、医師に作成してもらう必要があります。
戸籍謄本や住民票は、ご本人の身分関係を証明するものです。財産目録は、ご本人の財産状況を明らかにするものです。親族関係図は、ご本人と親族の関係を示すものです。これらの書類を準備するだけでも、かなりの時間と労力がかかります。
また、家庭裁判所では、必要に応じて、ご本人や親族への聞き取り調査を行うことがあります。成年後見人の選任には、通常、数ヶ月程度の時間がかかります。申し立てから選任まで、スムーズに進むように、事前に必要な書類を揃え、準備をしっかりと行うことが大切です。弁護士や司法書士などの専門家に依頼すれば、これらの手続きを代行してもらうことができます。
成年後見制度のメリット・デメリット
成年後見制度の利用には、メリットとデメリットがあります。メリットとしては、まず、ご本人の財産が適切に管理されることが挙げられます。成年後見人は、ご本人の財産を、ご本人のためにのみ使用することが義務付けられています。そのため、財産の不正利用を防ぐことができます。
また、成年後見人は、ご本人の代わりに、様々な契約行為を行うことができます。例えば、介護サービスの利用契約や、医療機関への入院手続きなどを行うことができます。これにより、ご本人が安心して生活を送ることができます。
一方、デメリットとしては、まず、後見人への報酬が発生することが挙げられます。後見人の報酬は、ご本人の財産から支払われます。また、実家を売却する際には、家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。家庭裁判所の許可を得るためには、売却の必要性や、売却価格の妥当性などを説明する必要があります。
さらに、成年後見制度を利用すると、ご本人の自由が制限される可能性があります。例えば、ご本人が自由に財産を処分することができなくなったり、住む場所を自由に選ぶことができなくなったりする場合があります。
成年後見制度の利用は、慎重に検討する必要があります。ご本人の状況や、ご家族の意向などを考慮し、最適な選択をすることが大切です。
成年後見制度のポイント
- 財産の不正利用を防ぐことが出来る。
- 親の代わりに、様々な契約が出来る。
- デメリットとしては、費用がかかる。
- ご本人の自由が制限させる可能性がある。
- ご本人の状況や、ご家族の意向などを考慮して選択がおすすめ。
売却以外の選択肢:実家を賃貸に出す
賃貸に出すメリット
実家を売却せずに賃貸に出すことには、いくつかのメリットがあります。まず、安定した収入源を確保できるという点が挙げられます。毎月家賃収入を得ることで、介護費用の足しにしたり、生活費に充てたりすることができます。また、将来的に親御さんが実家に戻る可能性がある場合、売却せずに残しておくことができます。
例えば、介護施設に入居していた親御さんが、体調が回復して自宅に戻ることを希望する場合などが考えられます。さらに、実家を売却すると、固定資産税や都市計画税などの税金が課税される可能性がありますが、賃貸に出す場合は、これらの税金を家賃収入で賄うことができます。
ただし、賃貸に出すには、いくつかの注意点もあります。例えば、入居者の募集や契約手続き、家賃の回収、物件のメンテナンスなど、様々な業務が発生します。これらの業務を自分で行うのが難しい場合は、不動産管理会社に委託することも可能です。
また、空室期間が発生する可能性もあります。空室期間中は、家賃収入が得られないため、収入が途絶えてしまう可能性があります。賃貸に出すかどうかは、これらのメリットとデメリットを比較検討し、慎重に判断する必要があります。
賃貸管理の注意点
実家を賃貸に出す場合、賃貸管理には様々な注意点があります。まず、入居者の選定は非常に重要です。家賃を滞納したり、近隣住民に迷惑をかけるような入居者は避けたいものです。入居審査をしっかりと行い、信頼できる入居者を選ぶようにしましょう。
また、契約書の内容も重要です。家賃、契約期間、更新料、禁止事項など、細部にわたって明確に記載する必要があります。契約書の内容に不備があると、後々トラブルに発展する可能性があります。
さらに、物件のメンテナンスも重要です。定期的に清掃や修繕を行い、入居者が快適に生活できるように維持する必要があります。特に、水回りや電気系統の故障は、早急に対応する必要があります。
これらの業務を自分で行うのが難しい場合は、不動産管理会社に委託することを検討しましょう。不動産管理会社に委託すれば、入居者の募集から契約手続き、家賃の回収、物件のメンテナンスまで、全てを代行してもらえます。
ただし、管理委託料が発生するため、費用対効果を検討する必要があります。賃貸管理は、手間がかかる作業ですが、適切な管理を行うことで、安定した家賃収入を得ることができます。
リフォームとバリアフリー化
実家を賃貸に出す場合、リフォームやバリアフリー化を検討することも有効です。リフォームを行うことで、物件の魅力を高め、より高い家賃で貸し出すことができる可能性があります。例えば、古くなったキッチンや浴室を新しくしたり、内装を現代的にしたりすることで、入居希望者を増やすことができます。
また、バリアフリー化は、高齢者や体の不自由な方にとって、住みやすい環境を提供することができます。例えば、段差をなくしたり、手すりを設置したり、出入り口を広くしたりすることで、安全に生活することができます。高齢化が進む現代社会において、バリアフリー化された物件は、需要が高まっています。
特に、高齢者向けの賃貸物件として貸し出す場合は、バリアフリー化が必須となることもあります。リフォームやバリアフリー化には、費用がかかりますが、長期的に見れば、家賃収入の増加や、空室期間の短縮につながる可能性があります。
リフォームやバリアフリー化を行う際には、専門業者に相談し、見積もりを取ることをおすすめします。また、地域のニーズを調査し、どのようなリフォームやバリアフリー化が効果的かを検討することが大切です。
専門家への相談とサポート
不動産会社への相談
実家売却を検討する際には、まず不動産会社に相談することをおすすめします。不動産会社は、物件の査定や売却手続き、税金に関するアドバイスなど、様々なサポートを提供してくれます。物件の査定では、近隣の相場や物件の状態などを考慮し、適切な売却価格を提示してくれます。
売却手続きでは、契約書の作成や、買い手との交渉など、煩雑な手続きを代行してくれます。税金に関するアドバイスでは、売却によって発生する税金の種類や、節税対策などを教えてくれます。
不動産会社を選ぶ際には、複数の会社に見積もりを依頼し、比較検討することが大切です。査定価格だけでなく、担当者の対応や、会社の信頼性なども考慮して選びましょう。また、不動産会社には、得意な分野があります。
例えば、マンションの売却に強い会社や、土地の売却に強い会社などがあります。自分の物件の種類や状況に合わせて、最適な不動産会社を選ぶようにしましょう。不動産会社に相談することで、スムーズな実家売却を実現することができます。
弁護士・司法書士への相談
成年後見制度の利用や家族信託の設定など、法的な手続きが必要な場合は、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。弁護士は、法律の専門家であり、成年後見制度の申し立てや、家族信託契約書の作成など、様々な法的な手続きを代行してくれます。
また、相続問題や、不動産に関する紛争など、法律に関する様々な問題に対応してくれます。司法書士は、登記の専門家であり、不動産の名義変更や、抵当権の設定など、登記に関する手続きを代行してくれます。
また、相続に関する手続きや、成年後見制度の申し立てなどにも対応してくれます。弁護士や司法書士を選ぶ際には、専門分野や、実績などを確認することが大切です。
また、相談しやすい雰囲気であるかどうかも重要です。複数の専門家に相談し、比較検討することをおすすめします。弁護士や司法書士に相談することで、複雑な手続きをスムーズに進めることができます。
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