家の売却 税金 完全ガイド】所得税はいくら?計算方法から節税対策、確定申告まで徹底解説!
監修者
山内康司
TikTokにて、不動産売却・購入について配信中。
不動歴10年以上。元警察官。

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【家の売却 税金 完全ガイド】所得税はいくら?計算方法から節税対策、確定申告まで徹底解説!
「家を売却したら、税金ってどれくらいかかるの?」「なんか難しい控除とか特例があるって聞いたけど…」「確定申告って、絶対やらないとダメ?」
家を売却する際、避けては通れないのが「税金」の問題。特に売却で利益が出た時にかかる「所得税」は、金額も大きくなりがちで、多くの方が不安に感じるポイントではないでしょうか。
この記事では、不動産売却時にかかる所得税(譲渡所得税)の仕組みから、具体的な計算方法、そして知っていると数百万円単位で手残りが変わる可能性のある「節税対策(控除・特例)」、さらには売却後の確定申告まで、あなたが損をしないために知っておくべき情報を、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します! 不安を解消して、賢く売却を進めましょう。
そもそも、家の売却で所得税がかかるのはどんな時?

家を売却したからといって、必ず所得税がかかるわけではありません。所得税がかかるのは、基本的に「売却によって利益(儲け)が出た場合」です。
「譲渡所得税」の基本:利益にかかる税金
家や土地などの不動産を売却して得た利益のことを「譲渡所得(じょうとしょとく)」と言います。この譲渡所得に対してかかる税金が、いわゆる「譲渡所得税」です。(正確には、所得税・復興特別所得税・住民税の合計)
この譲渡所得税は、お給料など他の所得とは分けて計算され(分離課税)、売却した翌年に確定申告をして納税するのが基本的な流れです。
逆に言えば、買った時よりも安く売れてしまい、損失(譲渡損失)が出た場合は、原則として譲渡所得税はかかりません。(ただし、損失が出た場合でも確定申告をした方が得になるケースがあります。詳しくは後述します。)
超重要!「所有期間」で税率が倍近く変わる!?
譲渡所得税の計算で、絶対に押さえておきたいのが「不動産の所有期間」です。なぜなら、所有期間が5年を超えるかどうかで、税率が劇的に変わるからです!
| 所有期間の判定(※) | 区分 | 所得税 (復興特別所得税含む) |
住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 15.315% | 5% | 20.315% |
※【超重要!】所有期間の判定基準日
所有期間は、実際に家を売却した日ではなく、売却した年の「1月1日」時点で判断します。例えば、2020年4月1日に購入した家を2025年10月1日に売却した場合、実際の所有期間は5年6ヶ月ですが、2025年1月1日時点ではまだ4年9ヶ月しか経っていないため、「短期譲渡所得」の高い税率が適用されてしまいます! この判定基準は非常に間違いやすいので、十分注意してください。
見ての通り、税率はほぼダブルスコア! 「あと数ヶ月待てば長期になるのに…」という場合は、売却時期を少し延期することも、有効な節税対策になり得ます。
所得税の計算方法:「譲渡所得(利益)」を正確に出そう
では、税金計算の元となる「譲渡所得(利益)」は、具体的にどうやって計算するのでしょうか?
基本の計算式
譲渡所得の計算式自体はシンプルです。
問題は、「取得費」と「譲渡費用」に何が含まれて、それをどうやって証明するか、という点です。ここを正確に計算できるかが、正しい税額を知る(そして節税する)ためのカギになります。
| 項目 | 内容・含まれるもの(主な例) | 証明に必要な書類(例) |
|---|---|---|
| 売却価格 | 実際に家(土地・建物)が売れた金額。 | 売買契約書 |
| 取得費 | その家を買った(建てた)時にかかった費用のこと。 ・購入代金(土地・建物) ・購入時の仲介手数料 ・購入時の登記費用(登録免許税、司法書士報酬) ・不動産取得税 ・購入契約書の印紙税 ・(借入した場合)ローン利子の一部(建物取得に関わる部分) ・造成費用、測量費用(購入時に要した場合) ・増改築や一定のリフォーム費用(資産価値を高める改良費) ※建物の購入代金は、所有期間中の価値の減少分(減価償却費)を差し引く必要あり。計算は複雑。 ★取得費不明の場合★ 購入時の書類紛失等で不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費とできるが、実際の取得費より大幅に低くなり、税金が高くなる可能性大! |
・購入時の売買契約書 ・購入時の諸費用の領収書 ・ローン返済予定表 ・リフォーム工事請負契約書・領収書 ・当時の通帳記録など |
| 譲渡費用 | その家を売るために「直接」かかった費用のこと。 ・仲介手数料 ・売買契約書の印紙税 ・登記費用(抵当権抹消、住所変更など売却に必要なもの) ・測量費(売却のために測量した場合) ・建物解体費・除去費(更地渡しの場合など) ・立退料(賃借人に支払った場合) ※引越し費用、ハウスクリーニング代、修繕費、固定資産税精算金などは原則NG。 |
・仲介手数料の領収書 ・登記費用の領収書 ・測量費の領収書 ・解体費用の領収書など |
※取得費・譲渡費用に何が含まれるかの判断は、専門的な知識が必要です。不明な点は税理士に相談しましょう。
この計算で「譲渡所得」がプラスになったら、その金額に前述の税率(短期なら約39%、長期なら約20%)を掛けて、納めるべき所得税・住民税の額が決まります。
特に「取得費」を証明する書類(購入時の契約書や領収書)は非常に重要です。もし紛失して「概算取得費(売却価格の5%)」で計算することになると、税額が何倍にも跳ね上がる可能性があります。家に関する書類は、大切に保管しておきましょう!
知らないと大損!?絶対に使いたい「節税対策(控除・特例)」

「やっぱり税金高いなあ…」と思った方も、まだ諦めないでください! 特にマイホーム(居住用財産)の売却には、税負担を劇的に軽くできる、強力な「控除」や「特例」がいくつも用意されています。これらを賢く使うことが、手残りを最大化する最大のポイントです!
| 控除・特例の名前 | どんな制度? | 使えるのはどんな時?(主な要件) | |
|---|---|---|---|
| 【最強!】 居住用財産の 3,000万円特別控除 |
譲渡所得(利益)から最大3,000万円を差し引ける! (利益が3,000万円以下なら税金ゼロに!) |
・自分が住んでいた家(または住まなくなって3年以内) ・親子・夫婦間など特別な関係への売却でない ・過去2年間に他の特例を使っていない |
|
| 【併用可!】 所有期間10年超 居住用財産の軽減税率 |
利益のうち6,000万円以下の部分の税率が約14%に軽減される! (長期譲渡税率約20%よりさらに低い) |
・所有期間が10年超の居住用財産 (売却年の1月1日時点で判定) ・上記の3,000万円控除の要件も満たす必要あり |
|
| 【損失が出ても!】 特定のマイホームの 譲渡損失の損益通算 及び繰越控除 |
マイホーム売却の損失を、給与所得など他の黒字所得と相殺(損益通算)できる。 引ききれない損失は翌年以降3年間繰り越し(繰越控除)できる。 |
・所有期間が5年超の居住用財産 ・(買換えの場合)新しい家のローン要件などあり ・(買換えしない場合)売却契約年の年末にローン残高があることなど |
|
| 【住み替えに】 特定の居住用財産の 買換え・交換の特例 |
マイホームを買い換える場合、売却益への課税を、次に買い換えた家を売る時まで繰り延べできる(非課税になるわけではない)。 | ・所有期間10年超、居住期間10年以上 ・売却代金1億円以下 ・新しい家の面積・金額要件あり など |
※3,000万円控除や軽減税率とは選択適用(どちらか一方しか使えない) |
| 【相続した家に】 被相続人の居住用財産 (空き家)に係る 譲渡所得の特別控除 |
相続した(亡くなった親などが住んでいた)家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円控除できる。 | ・相続開始から3年後の年末までに売却 ・一定の耐震基準を満たす or 家を取り壊して土地として売却 ・相続前に被相続人一人暮らしだったこと など(要件が非常に細かい) |
※上記は概要です。適用にはそれぞれ非常に細かい要件があります。自分が使えるかどうか、どの特例を使うのが一番有利かは、必ず税理士や税務署に確認してください。
これらの特例は、自分から確定申告をしないと絶対に適用されません! 知らないだけで何百万円も損をしてしまう可能性があるのです。
確定申告の準備と注意点:損しないための最終チェック

家の売却に関わる税金手続きのゴールが「確定申告」です。スムーズに、そして損なく終えるためのポイントを確認しましょう。
確定申告はいつ、どうやるの?
不動産を売却した場合、原則として売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に、税務署へ確定申告を行う必要があります。
【確定申告が必要な主なケース】
- 売却して利益(譲渡所得)が出た場合(税金を納めるため)
- 売却して損失が出たが、「損益通算・繰越控除」を使いたい場合(税金の還付や将来の節税のため)
- 利益が出なくても、「3,000万円特別控除」などの特例を使いたい場合(特例適用の申請のため)
つまり、ほとんどの場合、確定申告が必要になると考えておいた方が良いでしょう。
手続きは、
- 必要書類を集める
- 確定申告書と譲渡所得の内訳書を作成する
- 税務署に提出する(e-Tax、郵送、持参)
という流れになります。今は国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に従って入力するだけで書類を作成でき、e-Taxで提出まで完結できるので便利です。
確定申告に必要な書類リスト
確定申告には、売却に関する様々な書類が必要です。売却が終わっても捨てずに保管しておきましょう。
| カテゴリー | 主な書類 | 入手先など |
|---|---|---|
| 売却関係 | ・売買契約書のコピー ・譲渡費用の領収書(仲介手数料など) ・固定資産税等精算書のコピー |
不動産会社、ご自身で保管 |
| 取得関係 | ・購入時の売買契約書のコピー ・購入時の諸費用の領収書 |
ご自身で保管(紛失時は要相談) |
| 登記関係 | ・(売却時)登記事項証明書 (取得時がわかるものもあれば尚良し) |
法務局、司法書士 |
| 本人確認など | ・マイナンバーカード(または通知カード+身分証明書) ・銀行口座情報(還付の場合) ・印鑑 |
ご自身で用意 |
| (特例利用時) 追加書類 |
・(3000万円控除など)売却した家の戸籍の附票 or 住民票除票 ・(買換え特例)新しい家の売買契約書など ・(相続空き家特例)被相続人の住民票除票など |
市区町村役場、不動産会社など ※利用する特例によって必要書類が異なります |
| 申告書 | ・確定申告書B ・分離課税用の申告書(第三表) ・譲渡所得の内訳書 |
税務署、国税庁HPで作成・入手 |
※必要書類は状況によって異なります。詳しくは税務署や税理士にご確認ください。
要注意!「住宅ローン控除」との併用問題
もし家を売却して、すぐに新しい家を購入(住み替え)し、その新しい家で住宅ローンを組む場合、一つ大きな注意点があります。
それは、売却した家で「3,000万円特別控除」や「軽減税率の特例」を使った場合、原則として、新しい家で「住宅ローン控除」を適用できなくなる(適用開始が数年遅れる)というルールです。
どちらの制度も節税効果が大きいため、「売却時の税金を安くする」のと「将来の住宅ローン控除を受ける」のと、どちらがトータルで得になるか、事前にしっかりシミュレーションする必要があります。これは非常に専門的な判断になるため、税理士に相談することを強くおすすめします。
税金の支払いタイミング
最後に、税金の支払い時期を確認しておきましょう。
- 印紙税:売買契約を結ぶ契約時に納付。
- 譲渡所得税(所得税・復興特別所得税):確定申告期間(翌年2/16〜3/15)内に、申告と同時に納付。
- 譲渡所得税(住民税):確定申告後、翌年の6月頃に市区町村から納付書が届くので、それに従って納付(通常年4回払い)。
特に所得税は申告と同時に納付が必要です。売却代金が入ったら、納税資金としてしっかり確保しておきましょう。
不動産売却を成功させるために:専門家との連携がカギ

ここまで見てきたように、家の売却には税金をはじめ、専門的な知識が必要な場面がたくさんあります。すべてを自分だけでやろうとせず、プロの力をうまく借りることが、成功への近道です。
信頼できる「不動産会社」を選ぶ
売却活動全体のパートナーとなる不動産会社選びは、税金面でも重要です。信頼できる会社なら、
- 売却にかかる税金の概算や、使える可能性のある特例について、基本的な情報を提供してくれる。
- 必要に応じて、提携している税理士を紹介してくれる。
- 確定申告に必要な書類(売買契約書など)をしっかり準備・説明してくれる。
といったサポートが期待できます。査定額だけでなく、こうした税金面での知識やサポート体制も、会社選びの判断材料にしましょう。
私たちリブネクストが、お客様の不動産売却においてどのようなサポートをさせていただいているか、「リブネクストが不動産売却で選ばれている理由」のページもぜひご覧ください。
税金のことは「税理士」に相談するのが一番確実
譲渡所得の計算、特に「取得費」の算出(減価償却など)や、各種特例の適用要件の判断は、非常に複雑です。計算ミスや勘違いで、本来払わなくていい税金を払ってしまったり、逆に後から追徴課税されたりするのは避けたいですよね。
税金に関して少しでも不安や疑問があれば、迷わず「税理士」に相談しましょう。彼らは税務のプロフェッショナル。あなたの状況に合わせて、
- 最も有利な節税方法(特例の選択など)をアドバイスしてくれる。
- 正確な税額を計算してくれる。
- 面倒な確定申告の手続きを代行してくれる。
といった、心強いサポートを提供してくれます。相談費用はかかりますが、それ以上の節税効果が得られることも少なくありません。「餅は餅屋」です。
リブネクスト株式会社では、不動産売却に詳しい経験豊富な担当税理士とも連携しております。税金に関するご相談もワンストップで対応可能ですので、安心してご相談ください。まずはお問い合わせフォーム・電話・LINEからお気軽にご連絡ください。
売却後の「資金計画」も忘れずに
家を売却して得た資金は、税金や諸費用を差し引いた「手取り額」で考えることが大切です。その上で、そのお金を「何に使うか」を事前に計画しておきましょう。
住宅ローンの残債返済、新しい家の購入資金、老後の生活費、投資、教育資金…。使い道は様々ですが、目的を明確にしておくことで、無駄遣いを防ぎ、将来の安心につながります。必要であれば、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談して、長期的な視点での資金計画を立てるのも良いでしょう。
まとめ:賢く税金対策をして、家の売却を成功させよう!
家の売却と所得税は、切っても切れない関係です。税金の仕組みや節税対策を知っているかどうかで、手元に残るお金が大きく変わってきます。
この記事でお伝えしたポイント、
- かかる税金は主に「印紙税」と「譲渡所得税(所得税・住民税)」。
- 譲渡所得(利益)は「売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」で計算。取得費の証明が超重要!
- 所有期間5年超(売却年の1月1日時点)で税率がグッと下がる。
- マイホーム売却なら「3,000万円控除」などの強力な特例を要チェック!
- 特例を使うなら「確定申告」が必須!(損失が出た場合も!)
- 税金のことは「税理士」に相談するのが一番安心&確実。
これらをしっかり押さえて、賢く税金対策を行い、あなたの不動産売却を成功させてくださいね。







