空き家が売れない? 上手に手放すために!専門家が教える方策

監修者
山内康司
TikTokにて、不動産売却・購入について配信中。
不動歴10年以上。元警察官。
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空き家が売れない? 処分方法と手放すために!専門家が教える方策
空き家を所有しているけれど、なかなか売れずに困っていませんか?この記事では、空き家が売れない理由から、手放すための様々な方法、売却時の注意点まで詳しく解説します。
空き家が売れない主な原因
立地条件の不利
空き家が売れない原因として、まず挙げられるのが立地条件の不利さです。駅から遠い、バスの便が悪い、近くにスーパーや病院などの生活に必要な施設がないといった状況は、買い手にとって大きなマイナス要素となります。
特に近年は、高齢化が進んでいるため、高齢者にとって住みやすい環境かどうかが重要視される傾向にあります。そのため、坂道が多い、階段が多い、公共交通機関が利用しにくいなどの立地は、敬遠されがちです。
また、騒音や日当たりの悪さなども、立地条件の不利さに含まれます。周辺に工場や幹線道路がある場合は騒音が気になるでしょうし、建物が密集していて日当たりが悪い場合は、快適な生活を送ることが難しいと判断される可能性があります。これらの立地条件の悪さは、空き家の魅力を大きく下げ、売却を困難にする要因となります。購入希望者は、将来的な生活を想像しながら物件を探すため、利便性の低い立地は選択肢から外れやすいのです。
とはいえ、普通に家が立っている地域の場合は、少々立地が悪いという理由だけで、「売れない」とはなりません。普通に家が建っている地域にもかかわらず、売れない場合は、おそらく値段の問題です。金額が高いと売れないのが現実です。上で述べたようにさまざまに立地状の不利な要因がありますが、ひとまず置いておいて、普通に家が立建っている地域か?あるいは、普通に人が住んでいる地域か考えてください。普通に家が建っているのに、普通に人が住んでいるのに売れない場合は、金額の問題の場合がほとんどです。
建物の老朽化
建物の老朽化も、空き家が売れない大きな原因の一つです。長年放置された建物は、外壁のひび割れ、雨漏り、シロアリ被害など、様々な問題が発生している可能性があります。この前、当社で取引したところは、ネズミが大量発生していました。
これらの問題は、見た目の印象を悪くするだけでなく、建物の構造自体を弱体化させる恐れがあります。正直なところ、特定空き家に指定されるかどうかや長年放置された家というのは、不動産の流通にのせられるレベルの家ではなく、解体することを前提として売却作業が進むことになります。そうなると、解体費用分の価格交渉は入ってくる可能性が高くなります。
そこまで、老朽化が進んでいないとしても、水回り(キッチン、バスルーム、トイレなど)の老朽化は、買い手にとって大きな懸念材料となります。これらの設備は、日常生活に不可欠であり、交換や修理には高額な費用がかかるためです。また、屋根や外壁の修繕も、費用がかさむため、購入をためらう要因となります。建物の老朽化が進んでいる場合、売主がリフォームして売り出すことも可能ですが、リフォームした売主様の立場でいうと、リフォーム代の分高く売りたい!と考えてしまうものですが、思うように高く売れる可能性は、経験上低いです。それでしたら、むしろ思い切ってリフォーム代の分を安く売る!くらいの気持ちで売却に臨んでください。
再建築不可物件
再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を満たしていない(要するに道路とくっついていない)ため、既存の建物を解体して新たに建物を建てることができない物件のことです。
建築基準法では、建物が建つ土地は、原則として、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している必要があります。これは、災害時の避難経路の確保や、消防車などの緊急車両の通行を確保するために定められています。
再建築不可物件は、土地としての利用価値が低いため、売却が非常に困難です。既存の建物をリフォームして利用することは可能ですが、大規模な改修や増築は制限される場合があります。ちなみに、近年の建築基準法改正によって、大規模なリフォームはやりにくくなってきています。
また、住宅ローンを利用することが難しい場合もあります。再建築不可となると金融機関が住宅ローンでお金を貸してくれない場合が多いです。
同じ再建築不可といっても、どうしようもない、絶対に再建築不可の物件もあれば、周辺の土地のかたの承諾をえれば再建築できる場合もあり、さまざです。ただで承諾してくれるか、承諾料が必要かどうかは、ケースバイケースです。承諾料を払ったとしても、再建築できるようにして売却するほうがメリットがある場合もあります。
そういうことを考え合わせると、再建築不可物件を売却する場合は、不動産業者に相談し、専門的な知識やノウハウに基づいたアドバイスを受けることが重要です。
売却以外にも駐車場として貸すとか資材置き場として貸すなどの方法がいい場合もあります。そのあたりも含め、広い視点からのアドバイスをもらうようにしてください。
- 立地条件の不利さは空き家売却に影響を与える大きな要因です。駅から遠い、交通の便が悪い、生活に必要な施設が近くにないなどが、購入希望者の選択肢から外れる原因となります。
- 建物の老朽化も売却困難に繋がります。特に、シロアリ被害や雨漏り、設備の老朽化は、修繕や建て替えを考慮させ、買い手がためらう要因となります。
- 再建築不可物件は、建築基準法に基づき接道義務を満たさないため、原則として新たに建物を建てることができず、売却が難しいです。
空き家を放置するリスク
固定資産税の増額
空き家を放置することによるリスクの一つに、固定資産税の増額があります。これは、空き家対策特別措置法に基づき、「特定空き家」に指定された場合に適用されます。
特定空き家とは、倒壊の危険性がある、衛生上有害となる恐れがある、景観を損なっているなど、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空き家のことです。特定空き家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍になることがあります。
住宅用地特例とは、住宅が建っている土地の固定資産税を軽減する制度です。しかし、特定空き家に指定されると、この特例が適用されなくなるため、固定資産税が大幅に増額されてしまいます。空き家を放置していると、税金の負担が大きくなるだけでなく、特定空き家に指定される可能性もあるため、早めの対策が必要です。定期的なメンテナンスや管理を行い、特定空き家に指定されないように注意しましょう。
特定空き家の制度については、市町村によって運用が異なっています。ご自身が保有する空き家が特定空き家に指定されるかどうかは、市町村で異なることから、「これくらいで特定空き家ですか??」という家もあれば、「これは特定空き家でしょ」と言いたくなるような家もあります。これは、私の経験ですが、特定空き家への指定は所有者への大きな負担になるものですから、事前に「このまま放置すると特定空き家に認定しますよ」という通知が来ることが多いように思います。
そのような通知がきたら真剣に考える、というのでもよいかもしれませんが、不動産はどうしても早く売ろうとすると安く売ることになるので、そのような通知が来る前に事前にゆとりをもって、売却の作業に入られることをおすすめします。
近隣への迷惑
空き家を放置すると、様々な面で近隣住民に迷惑をかける可能性があります。例えば、雑草が生い茂り、害虫が発生しやすくなることで、近隣の生活環境を悪化させる恐れがあります。
また、空き家は不審者の侵入や不法投棄の温床となる可能性もあり、治安の悪化につながることも考えられます。さらに、建物の老朽化が進むと、外壁が剥がれ落ちたり、屋根瓦が落下したりする危険性もあり、通行人に危害を加えてしまうかもしれません。
これらの問題は、近隣住民との関係を悪化させるだけでなく、損害賠償責任を問われる可能性もあります。空き家を所有している場合は、定期的な清掃やメンテナンスを行い、近隣住民に迷惑をかけないように配慮することが大切です。もし、自分での管理が難しい場合は、専門の管理業者に依頼することも検討しましょう。
倒壊のリスク
長年放置された空き家は、建物の老朽化が進み、倒壊のリスクが高まります。特に、地震や台風などの自然災害が発生した場合には、倒壊の危険性がさらに高まります。
空き家が倒壊すると、周辺の建物や通行人に損害を与える可能性があります。もし、倒壊によって人に怪我をさせてしまった場合、所有者は損害賠償責任を負うことになります。また、倒壊した建物の撤去費用も、所有者が負担しなければなりません。
空き家を所有している場合は、定期的な点検を行い、建物の状態を把握しておくことが重要です。もし、倒壊の危険性がある場合は、専門業者に依頼して、補強工事や解体工事を行う必要があります。空き家の倒壊は、大きな事故につながる可能性もあるため、早めの対策を講じることが大切です。安全を確保するためにも、専門家による診断を受けることをおすすめします。
- 空き家が「特定空き家」に指定されると、固定資産税が最大6倍になる可能性があり、住宅用地特例が適用されなくなります。早めの管理とメンテナンスが重要です。
- 空き家を放置すると、雑草や害虫、治安の悪化など近隣に迷惑をかける可能性があり、損害賠償責任を問われることもあります。定期的な清掃や管理が必要です。
- 長年放置された空き家は倒壊のリスクが高まり、自然災害時には周辺に危害を及ぼす可能性があります。定期的な点検と必要な補強工事を行うことが求められます。
売れない空き家の処分方法
不動産買取業者へ売却
空き家を処分する方法の一つとして、不動産買取業者への売却があります。不動産買取業者は、個人や法人から不動産を直接買い取る業者であり、仲介業者を介さずに取引を行うため、スムーズな売却が可能です。
不動産買取業者に売却するメリットは、仲介手数料が不要であること、売却までの期間が短いこと、現状のまま売却できることなどが挙げられます。特に、空き家の状態が悪い場合や、早期に現金化したい場合には、不動産買取業者の利用が有効です。
ただし、不動産買取業者は、再販を目的として不動産を買い取るため、仲介業者を介して売却する場合に比べて、売却価格が低くなる傾向があります。そのため、複数の業者から査定を受け、相場を把握した上で、売却先を決定することが重要です。複数の不動産買取業者に一括で査定を依頼できるサービスを活用すれば、効率的に比較検討ができます。
空き家バンクへの登録
空き家バンクとは、各自治体が運営する空き家情報を提供するWebサイトのことです。空き家を売りたい、または貸したい所有者と、空き家を探している人を結びつける役割を果たします。
空き家バンクに登録するメリットは、自治体の支援を受けながら、空き家の情報を広く公開できることです。これにより、空き家を探している人に見つけてもらいやすくなり、売却や賃貸の機会が増える可能性があります。また、自治体によっては、空き家バンクに登録した空き家に対して、改修費用の補助金や税金の優遇措置などを設けている場合があります。
ただし、空き家バンクへの登録には、一定の条件があります。例えば、建物の状態や所在地などが、自治体の定める基準を満たしている必要があります。また、空き家バンクに登録したからといって、すぐに買い手や借り手が見つかるとは限りません。空き家バンクは、あくまで情報提供の場であり、売却や賃貸の成約を保証するものではないことに注意が必要です。
リフォームして再販
空き家の状態が悪い場合は、リフォームすることで買い手が見つかりやすくなることがあります。リフォームによって建物の機能性や快適性を高めることで、物件の魅力を向上させられます。
リフォームを行う際には、ターゲットとする層を明確にし、その層に合わせた内容にすることが重要です。例えば、若い世代をターゲットにする場合は、デザイン性の高い内装や最新設備の導入が効果的です。高齢者をターゲットとする場合は、バリアフリー化や安全性の高い設備が喜ばれるでしょう。
ただし、リフォームには費用がかかるため、費用対効果をしっかり検討する必要があります。リフォーム費用を回収できるか、売却価格に上乗せできるかなどを慎重に判断しましょう。リフォームを検討する際には、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
- 不動産買取業者への売却は、仲介手数料が不要で、スムーズな取引が可能ですが、売却価格が低くなる場合があります。複数の業者から査定を受け、相場を把握することが重要です。
- 空き家バンクに登録することで、自治体の支援を受けて、空き家の売却や賃貸の機会を増やすことができます。ただし、条件や保証があるわけではないことを理解しておく必要があります。
- リフォームを行うことで、空き家の魅力を向上させ、買い手が見つかりやすくなる可能性があります。ターゲット層に合わせたリフォーム内容を慎重に検討し、費用対効果を考慮しましょう。
売却時の注意点
境界の確定
空き家を売却する際には、隣地との境界を確定させておくことが非常に重要です。境界が曖昧なまま売却すると、後々、隣地所有者との間で境界に関するトラブルが発生する可能性があります。
境界の確定とは、土地の境界線を明確にする作業のことです。具体的には、土地家屋調査士に依頼して、測量を行い、隣地所有者と立ち会いの下、境界を確認し、合意書を作成します。境界が確定すると、土地の範囲が明確になり、安心して取引を行うことができます。
もし、境界が確定していない場合は、売却前に必ず境界確定の手続きを行うようにしましょう。境界確定には、測量費用や土地家屋調査士への報酬など、費用がかかりますが、後々のトラブルを避けるためには必要な費用です。境界確定の手続きは、時間もかかるため、早めに準備に取り掛かることをおすすめします。
相続登記の完了
相続した空き家を売却する場合、必ず相続登記を完了させておく必要があります。相続登記とは、亡くなった方の名義から、相続人の名義に不動産の名義を変更する手続きのことです。
相続登記が済んでいないと、法的に空き家の所有者として認められないため、売却手続きを進めることができません。相続登記の手続きは、自分で行うこともできますが、専門的な知識が必要となるため、司法書士に依頼することをおすすめします。
相続登記には、戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書など、様々な書類が必要となります。書類の準備には時間がかかる場合があるため、早めに準備に取り掛かることが重要です。また、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、誰が空き家を相続するかを決定する必要があります。相続登記をスムーズに進めるためには、専門家のアドバイスを受けながら、着実に手続きを進めていくことが大切です。
瑕疵担保責任
空き家を売却した後、建物に隠れた欠陥(雨漏り、シロアリ被害、地盤沈下など)が見つかった場合、売主は買主に対して瑕疵担保責任を負うことがあります。瑕疵担保責任とは、売却した物件に隠れた欠陥があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
瑕疵担保責任を問われた場合、売主は、損害賠償や契約解除に応じなければならない場合があります。そのため、空き家を売却する際には、事前に建物の状態をよく確認し、欠陥がある場合は、買主に告知しておくことが大切です。
また、瑕疵担保責任の期間や範囲は、契約によって定めることができます。売買契約を締結する際には、瑕疵担保責任に関する条項をよく確認し、不明な点があれば、不動産業者に質問するようにしましょう。瑕疵担保責任は、売主にとって大きなリスクとなる可能性があるため、事前にしっかりと対策を講じることが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、慎重に売却手続きを進めていきましょう。
- 空き家の売却前に境界を確定することが重要です。境界確定には測量費用がかかりますが、後々のトラブルを防ぐために必要な手続きです。
- 相続した空き家を売却する前に相続登記を完了させることが必要です。手続きには時間がかかる場合があるため、早めに準備を始めることをおすすめします。
- 瑕疵担保責任を負う可能性があるため、空き家の状態を事前に確認し、欠陥があれば買主に告知しておくことが大切です。
まとめ
空き家が売れない原因は、立地条件の不利、建物の老朽化、再建築不可物件であることなど、様々な要因が考えられます。空き家を放置すると、固定資産税の増額、近隣への迷惑、倒壊のリスクなど、様々なリスクが生じます。
空き家を処分する方法としては、不動産買取業者への売却、空き家バンクへの登録、リフォームして再販などがあります。売却する際には、境界の確定、相続登記の完了、瑕疵担保責任など、注意すべき点があります。
空き家を所有している場合は、放置せずに早めに対策を講じることが重要です。この記事で紹介した方法を参考に、ご自身に合った処分方法を見つけて、空き家を手放しましょう。もし、自分での対応が難しい場合は、専門業者に相談することも検討しましょう。空き家の問題は、放置すればするほど深刻化する可能性があります。早めの対策が、問題解決への第一歩となります。
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家の売却後のリスクを極力無くしたい方は、ぜひ「リブネクスト」にお気軽にご相談ください。
売却後のクレームになりそうな所を、事前に対処させていただきどのように進めていけばいいかお伝えさせていただきます。
また、弊社自身が購入させていただく事もできる場合があり、即時売却も可能なのが強みです。
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住み替えのタイミングや、売却のタイミングなど含めて色々とお伝えさせていただきます。